俳句の作り方 冬の梅の俳句
わが胸にすむ人ひとり冬の梅 久保田万太郎くぼたまんたろう
わがむねに すむひとひとり ふゆのうめ
冬の梅が冬の季語。
「冬のうちから咲きだす梅。
種類によっては12月から咲くものもある。」
(俳句歳時記 冬 角川書店編)
わが胸にすむ人ひとり冬の梅
わが胸にすむ人ひとり冬の梅
句意を申し上げます。
私の心の中にひそかに存在する女性はただ一人。
ああ、冬の梅が咲いた。
彼女は冬の梅のように美しい。
鑑賞してみましょう。
久保田万太郎は、複雑な女性関係に翻弄された小説家・劇作家・俳人です。
30歳で元芸者、大場京と正式に結婚しましたが、万太郎46歳のとき彼女は睡眠薬自殺を遂げます。
原因は彼の女性関係です。
57歳で再婚しましたが孤独を埋められずにいました。
句集『流萬抄』に掲句の前書きには「ひそかにしるす」とあります。
「わが胸にすむ人」は正妻の大場京ではなく、長年連れ添った事実婚の女性と解釈することもできます。
しかし、自分が原因で妻を自殺に追い込んだ作者の胸には正妻の京しかいません。
京は自死によって万太郎に永遠の愛を捧げたのです。
彼女は万太郎が死ぬまで強く記憶に残ることとなったのです。
「ひそかにしるす」ことをさせたのは彼の悲痛な後悔です。
わが胸にすむ人ひとり冬の梅
